本案を叩き台に「米子市快適な生活環境の確保に関する条例」として米子市議会第434回定例会にて可決いたしました。
●快適な生活環境の確保に関する条例(案)の制定に向けて●
米子市は、現在まで私たちが追い求めてきた便利で快適な暮らしの結果として環境問題の多くの原因をつくり出してきた事を受け止め、それを見直し、環境を保全すると共に、よりよい環境を創造し将来の世代に継承するため、米子市環境基本条例を制定しました。
この環境基本条例では、市民・事業者・市それぞれの役割分担と連携によって、より良好な環境を将来の世代に継承するため、自然と共生し、地域の特性を活かし、持続的発展が可能な循環型社会を目指し、ひいては地球規模の環境保全に貢献する事を大きく理念として掲げた条例です。
この事は、現在に生きる私たち地球市民すべての責務でもあり、全ての施策の基本に据えて取り組んでいかなければならない課題であり、基本条例の制定は意味ある大きな一歩と言えます。
ただ、環境基本条例は、米子市として環境についての考え方を明らかにしていくという、
理念をスローガン的に掲げた条例であり、個別の環境問題を解決するための条例とは性格が異なります。
私は、環境基本条例の理念を大きく掲げた上でさらに個別問題について一歩一歩解決にむけて取り組むため本年の9月議会でも、増加傾向にある「放置自動車」と、景観修復に貴重な予算からかなりの支出をしなければならないような状況にある公共施設等への「落書き」について、基本条例の下位条例を制定し、抑止力を持って解決に向け取り組む必要性を訴えてきました。
しかし、米子市とは基本的認識は一致しながらも、現在の状況がそのような下位条例が必要になる時期・状況であるかについて認識が異なり、よって私は自ら議員発議として条例案を提出する事を決意しました。
●「快適な生活環境の確保に関する条例」を制定する目的●
市民の共有財産である公共施設等を快適に利用し得るためには、その環境が快適でなければなりません。
しかし、かねてより公共施設等に対する落書きは後を断たず、最近に至っては、差別表現を有する落書きが頻繁に発生するようにまでなっています。
落書きは当該の公共施設の効用を失わせるものではないにしろ、美観を損ね、市民の快適な生活環境に悪しき影響を与えるのみならず、これを見た人に、あるいはその行為が発生した事実が、場合によっては精神的健康を害するに至るものです。
放置自動車については、増加傾向にあり、公共施設等の利用においてその妨げになったり、美観を損ねたりするものとしてマスコミも取り上げる程の社会問題になっています。
しかし、現在はその処理について条例で定めておらず、自動車として機能しないゴミとして判断されなければ、その処理もできない状況にあり、また、個人の財産権に対する根拠としても不明確なまま現在その処理を行っています。
それらの状況は、米子市の環境基本条例に定める環境施策の基本方針である「市民の健康の保護及び快適な生活環境の確保」とは、決して相容れないものであり、その解決に向けてより実効性を高める必要性があると考えます。
しかし、落書きや放置自動車を現行法により刑事罰をもって取り締まる事は難しく、法的効果を有しない啓発運動によって抑止を計るほか無いのが現状です。
そこで、一般的に落書きを禁止するとともに、公共施設等における落書きおよび自動車の放置に対しては、罰則をもってあたる事を定めた条例を制定する事により、強力な抑止効果を期待するものです。
但し、罰則を科す事が目的ではなく、快適な環境の確保があくまでも目的であり、あわせて、その環境を引き継ぐべき次世代への環境における社会規範についての啓発に大きく役立つ事を願うものです。
なおこの条例は、環境基本条例の下位に位置し、同条例に基づく環境施策の実効性を高める機能を有する条例として定めるものです。
米子市快適な生活環境の確保に関する条例(案)
第1章 総則
(目的)第1条
この条例は、落書き及び自動車の放置が市民の快適な生活環境の確保に対して
重大な障害となる行為であることにかんがみ、落書き及び自動車の放置の防止
ならびにこれらの行為に対する措置に関し必要な事項を定める事により、市民
の快適な生活環境の確保を図り、もって本市における環境の保全及び快適な環
境の創造に寄与することを目的とする。
(定義)第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところ
による。
(1)公共施設等
公の用に供することを目的とした施設、設備及び器具であって、市が設置した
もの又は市が管理するものをいう。
(2)落書き
正当な理由なく他人の施設、設備及び器具に文字、図形若しくは模様をかくこ
と又は正当な理由なく他人の施設、設備及び器具にかかれた文字、図形若しく
は模様をいう。
(3)自動車
道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車
をいう。
(4)放置
正当な権原に基づき置くことを認められた場所以外の場所において自動車を直
ちに運転することができない状態にする行為(道路法(昭和27年法律第18
0号)第43条第2号に規定する行為に該当するもの及び道路交通法(昭和3
5年法律第105号)第51条の4に規定する放置行為に該当するものを除く
)をいう。
(5)所有者等
自動車を所有し、占有し、又は使用する権原を現に有する者又は最後に有して
いた者及び自動車の放置をした者をいう。
第2章 落書きに対する措置
(落書きの禁止)第3条
何人も、落書きをしてはならない。
(市の責務)第4条
市は、落書きの防止に関する啓発その他必要な施策の実施に努めるものとする。
(市民の責務)第5条
市民(本市の区域内に滞在する者を含む)は、前条の規定により市が実施する
施策に協力しなければならない。
(落書きに対する措置)第6条
(1)市長は、公共施設等に落書きがされた場合にあっては、当該落書きをし
た者の発見に努めるものとする。
(2)市長は、公共施設等に落書きがされた場合にあっては、当該落書きの消
去に努めるものとする。
(3)前項の規定にもかかわらず、市長は、公共施設等にされた落書きをした
者の発見のため、その他の理由により必要があると認めるときは、当該落書き
の被覆その他必要な措置を講じた上、当該落書きの消去を行わないことができ
る。
(4)市長は、公共施設等に落書きがされた場合であって当該落書きをした者
が判明したときは、その者に対して当該落書きの消去を命ずることができる。
(費用の請求)第7条
市長は、前条第2項の規定により落書きの消去を行った場合又は同条第3項の
規定により落書きの被覆その他必要な措置を講じた場合であって、当該落書き
をした者が判明しているとき又は判明したときは、当該落書きをした者に対し、
当該消去又は被覆その他必要な措置に要した費用を請求することができる。
第3章 自動車の放置に対する措置
(放置の禁止)第8条
何人も、自動車の放置をし、若しくは放置をさせ、又はこれらの行為をしよう
とする者に協力してはならない。
(市の責務)第9条
市は、自動車の放置の防止に関する啓発その他必要な施策の実施に努めるもの
とする。
(事業者の責務)第10条
事業者等(自動車の製造、輸入、販売、修理若しくは整備、引取り又は解体を
業として行っている者及びこれらの者の団体をいう。)は、自動車の放置が行
われることのないよう、自動車の引取りその他適切な措置を講ずるよう努める
とともに、前条の規定により市が実施する施策に協力しなければならない。
(市民の責務)第11条
市民(本市の区域内において自動車を所有し、占有し、又は使用する者を含む
)は、第9条の規定により市が実施する施策に協力しなければならない。
(調査等)第12条
市長は、公共施設等に置かれている自動車であって直ちに運転することができ
ない状態にあるもの(正当な権原に基づき置かれているものを除く。)を発見
したときは、速やかに、関係機関への通報その他の必要な措置を講ずるととも
に、当該自動車の状況、所有車等その他の事項を調査しなければならない。
(警告)第13条
市長は、前条の規定による調査の結果、当該自動車が放置の状態にあるもので
あることが判明したときは、当該放置の状態にある自動車(以下「放置自動車」
という。)に、当該放置自動車について直ちに適切な措置をとるべき旨を記載
した警告書をはり付けるものとする。
(勧告)第14条
市長は、第12条の規定による調査の結果、当該放置自動車の所有者等が判明
したとき(当該所有者等と連絡を取ることができる場合に限る。)は、当該所
有者等に対し、期限を定めて、当該放置自動車を撤去するよう勧告しなければ
ならない。
(命令)第15条
市長は、前条の規定により勧告を受けた所有者等が当該勧告に従わないときは、
当該所有者等に対し、期限を定めて、当該放置自動車を撤去するよう命じなけ
ればならない。
(放置自動車の移動及び保管)第16条
(1)市長は、第13条の規定により警告書をはり付けた日から1月を経過し
ても、当該放置自動車の所有者が判明していないとき(次条第1項第2号にお
いて「所有者等不明の場合」という。)又は当該放置自動車の所有者等が判明
したにもかかわらず当該所有者等と連絡を取ることができないとき(同号にお
いて「連絡先不明の場合」という。)は、当該放置自動車を移動し、及び保管
することができる。
(2)市長は、前項の規定により放置自動車を移動し、及び保管したときは、
当該放置自動車があった場所又はその付近に、当該放置自動車を移動し、及び
保管した旨並びに当該放置自動車の引き取りに関し必要な事項を表示しておか
なければならない。
(3)市長は、第1項の規定により放置自動車を移動し、及び保管したときは、
その旨及び当該放置自動車の引取りに関し必要な事項を公示しなければならない。
(4)市長は、前項の規定による公示の日から次条第2項又は第19条第1項
の規定による公示をする日までの間に、第1項の規定により保管している放置
自動車の所有者等が判明したとき(当該所有者等と連絡を取ることができる場
合に限る。)は、当該所有車等に対し、直ちに当該放置自動車を引き取るよう
通知しなければならない。
(廃物認定)第17条
1.市長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、当該放置自動車を廃物(自
動車としての本来の用に供することが困難であり、かつ、不要物であると認め
られる状態にあるものをいう。以下同じ。)として認定することができる。
(1)前条第4項又はこの条第4項の規定による通知をした日から1月を経過
しても当該所有者等が当該放置自動車を引き取らないとき。
(2)前条第1項の規定による保管をした日から1月を経過しても所有者等不
明の場合又は連絡先不明の場合
2.市長は、前項の規定による認定をしたときは、その旨及び当該認定に係る放
置自動車を次条の規定により処分する旨並びに当該放置自動車の引取りに関し
必要な事項を公示しなければならない。
3.市長は、第1項第1号の規定に該当することにより同項の規定による認定を
したときは、前項の規定による公示と併せて、当該放置自動車の所有者等に対
し、当該公示の内容を通知しなければならない。
4.市長は、第1項第2号の規定に該当することにより同項の規定による認定を
した場合において、第2項の規定による公示の日から同日から起算して14日
を経過する日までの間に当該放置自動車の所有者等が判明したとき(当該所有
者等と連絡を取ることができる場合に限る。)は、当該所有者等に対し、直ち
に当該放置自動車を引き取るよう通知しなければならない。
(処分)第18条
市長は、前条第1項の規定により放置自動車を廃物として認定したときは、当
該放置自動車を処分することができる。
2.前項の規定による放置自動車の処分は、前条第2項の規定による公示の日か
ら起算して14日を経過しなければ、することができない。
(廃物認定外放置自動車に対する措置)第19条
市長は、放置自動車について第17条第1項の規定による廃物としての認定を
しなかったときは、速やかに、次に掲げる事項を公示しなければならない。
(1)当該廃物として認定しなかった放置自動車(以下「廃物認定外放置自動
車」)を直ちに引き取るべき旨
(2)公示の日から起算して3月を経過しても当該廃物認定外放置自動車の引
取りがない場合には、当該放置自動車を処分する旨。
2.前項の場合において、市長は、当該廃物認定外放置自動車の所有者等が判明
しているとき(当該所有者等と連絡を取ることができる場合に限る。)は同項
の規定による公示の日から同日から起算して3月を経過する日までの間に当該
廃物認定外放置自動車の所有者等が判明したとき(当該所有者等と連絡を取る
ことができる場合に限る。)は直ちに、当該所有者等に対して、当該公示の内
容を通知しなければならない。
(廃物認定外放置自動車の処分)第20条
市長は、前条第1項の規定による公示の日(同条第2項の規定による通知をし
た場合においては、当該通知の日。次条第2項において同じ。)から起算して
3月を経過しても当該廃物認定外放置自動車の引取りがないときは、当該廃物
認定外放置自動車を処分することができる。
(所有権の帰属)第21条
第17条第2項の規定による公示の日から起算して14日を経過しても当該公
示に係る放置自動車の引取りがないときは、当該放置自動車の所有権は、市に
帰属する。
2.第19条第1項の規定による公示の日から起算して3月を経過しても当該公
示に係る廃物認定外放置自動車の引取りがないときは、当該廃物認定外放置自
動車の所有権は、市に帰属する。
(費用の請求)第22条
市長は、第16条第1項の規定により保管している放置自動車の所有者等が当
該放置自動車を引き取ろうとするときは、当該所有者等に対し、当該放置自動
車の移動及び保管に要した費用を請求することができる。
2.市長は、第18条第1項若しくは第20条の規定により放置自動車を処分し
たとき、又はこれらの規定による処分をした日以後に当該自動車の所有者等が
判明したときは、当該放置自動車の所有者等に対し、当該放置自動車の移動及
び保管並びに処分に要した費用を請求することができる。
第4章 補則
(委任)第23条
この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
(罰則)第24条
第3条の規定に違反して公共施設等に落書きをした者は、5万円以下の罰金に
処する。
(罰則)第25条
第15条の規定による命令に違反した者は、20万円以下の罰金に処する。
(罰則)第26条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法
人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、
その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。
(附則)
この条例は、公布の日から起算して 月を超えない範囲内において規則で定め
る日から施行する。